東京地方裁判所平成19年10月15日判決は、上司がAさんに対して発した言葉の内容にはAさんの人格や存在自体を否定するものも含まれ、過度に厳しいこと、上司のAさんに対する態度には嫌悪の感情の側面があること、上司はAさんに対し相手の立場や感情に配慮しない極めて直截な言い方をしていたこと等を指摘し、
「上司のAさんに対する態度によるAさんの心理的負荷は、人生においてまれに経験することもある程度に強度のものということができ、一般人を基準として、社会通念上、客観的にみて、精神障害を発症させる程度に過重なものと評価するのが相当である」
とし、Aさんの自殺は業務に起因するものとして労災に当たることを認めた。
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